犬も野菜を食べるべき?
ドッグフードについて色々と調べてみると、「栄養バランス抜群、野菜入り」という製品を見かけたり、野菜をメインに作られたドッグフードを目にすることもあるでしょう。一方で、犬は肉食なので穀類の消化吸収が苦手、野菜を与える事は不要という説もあります。一飼い主として、愛犬の健康を考えるうえで、どのような食事を用意したらいいのかと何かと悩む事でしょう。
犬は野菜の消化吸収が苦手?
これは確かに事実です。ただ「苦手」とするにあたって比較対象が誰なのか?どの動物と比べて苦手なのかという点が大切なのです。たしかに、草食動物と比べた場合には消化吸収能力は劣るでしょう。ですが、野生で生活する完全な肉食動物に比べたら、消化吸収能力が高いともいえます。ある一点だけを見て、苦手と判断し、野菜を食事から除去する事はある意味大げさと言えるでしょう。
犬は肉食ではなく雑食
犬の祖先であるオオカミは完全な肉食動物です。でもオオカミから派生した犬は全く別の進化を遂げ、人間と共に暮らし、人間の食事の余りものを食べる生活が長く続いた事で、「雑食」という食性に変化しているという学説もあります。たしかに、肉食と言えるほどに、肉の含有量の多い食事は、人間の余りものをもらう生活では難しかったでしょう。また、犬は人間から食事をもらう事で、タンパク質以外のビタミン、ミネラルなどの栄養素も併せて接取できていたのです。
犬の必須栄養素
犬にとって健康を維持する上で、必須となる栄養素があります。これを「必須栄養素」と呼びます。この必須栄養素が不足する事で、体調をくずしてしまったり、痩せてしまったり、毛艶が悪くなるといった症状が見られます。犬の必須栄養素には「ビタミン」も含まれています。犬はある一定量のビタミンを摂取しなければ健康を維持できないのです。ですが、ビタミンは非常に不安定な栄養素で、水溶性であり、加熱する事で消滅もしてしまいます。その上、犬は食べ物を体内で消化吸収する際に、自ら体内でビタミンを作りだす事もできません。つまり、必須栄養素である、ビタミンを食事から接取しなければならないのです。ビタミンを摂取するには、野菜を食べる事、少量ですが肉にもビタミンが含まれているので肉を食べるなどの方法があります。しかし、市販のドッグフードの場合、原材料の時点では肉や野菜にビタミンが含まれていても加工段階の加熱でほぼすべてが消滅してしまっていると言われています。これでは「野菜」配合の高価なドッグフードを購入してもあまり効果が期待できません。
ビタミン配合ならOK
ドッグフードの中には、このビタミンの特性に着目し、加工段階でビタミンを添加するという方法を取っている場合もあります。加熱する事で一旦はビタミンが消えてしまい、野菜は単なる食感を楽しむだけの具材になってしまうからです。仕上げの段階で失われてしまったビタミンを添加する事で栄養バランスを整えるのです。ただ、ドッグフードのパッケージの上記では、ビタミン配合といってもどの程度の品質のビタミンなのか、どの程度の量なのかの判断は難しいでしょう。ビタミン配合だから高価だ、健康にいいドッグフードだと安易に判断するのではなく、原材料表示をしっかりとみて、総合的に信頼できる製品かどうかを判断し、愛犬の食事としましょう。
手作り食でも同様です
最近は、ドッグフードの安全性への疑問からか、愛犬の食事を人間用の食材を用いて手作りするというご家庭が増えています。犬の為の栄養学や食育という分野もとても注目されているもので、書籍も多数販売され、各種セミナーも開催されています。このような「愛犬の為の手作り食」においても、栄養バランスは気になるところです。特に野菜は、苦手とする愛犬が多く、食べ残してしまう、野菜があると口を付けないという事もあるようです。愛犬の手作り食で使用する野菜も調理前に水につけ置けばビタミンが溶けだしてしまい、鍋に入れ加熱すれば消滅してしまいます。ですから、調理は出来る限り手短に行い、加熱時間も短めにしてあげましょう。
また、市販のビタミン補給用のサプリメントを上手に活用し、食事に添加してあげてもいいでしょう。犬も人間も食事は栄養バランスが大切でも、好き嫌いもありなかなか「野菜」を食事に取り入れる事が難しい場合には、オヤツを野菜ベースの物にする、野菜をペーストやジュース状にして食事に混ぜるなどの工夫をされるとよいでしょう。ただ、ビタミンを出来る限り保持するためにと、生野菜を犬に与える事はあまりお勧めできません。犬の体質によっては、生野菜を食べる事で下痢や消化不良を起こしてしまう危険性もあるので、適度に加熱し、調理した状態で野菜は与えるようにしましょう。犬も人間と同様で食事は栄養バランスの整った食事を適量で続ける事がとても大切な事なのです。
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